メキシコでは今年3月27日に保健省の新しい規格が公布されて、パック詰め食品や非アルコール飲料に、「高カロリー」、「高塩分」、「高糖分」、「高飽和脂肪」、「高トランス脂肪酸」の場合は下のようなラベルの貼付が義務付けられています。貼付は7月31日から始まって、今年の12月以降は、貼付されていない該当製品には罰則措置が課されます。
先月くらいから確かに、このマークが貼られている商品を見かけるようになりましたが、今日行ったスーパーの棚では、更に増えていました。10月31日までは、既に製造されているものには貼らなくてもよいので、同じ商品でも当分は貼ってあるものと貼ってないものが混在することになりますが、今日見る限り、上の写真のような大企業ブランドの人気商品に多く貼られていました。やはりこうした企業は、自然素材よりも添加物を沢山使っているようです。このマークを見るとさすがにちょっと「そうか」と引いてしまうのは私だけではないようで、警告マークのついた人気商品のとなりの無名ブランドの棚の方が、減っていました。多分こうした無名ブランドは、あまり美味しくないのだと思いますが、健康には良いのでしょう。
私はお菓子やジュース類は以前から、自分にも息子にも殆ど買わないようにしているので、普段と同じものを買っても警告マーク付きの商品がカートに入ることはなかったのですが、ひとつだけ、いつも買っているトマトピューレに手を伸ばしたらこのマークが付いていて、買うのをやめてしまいました。チューブや瓶入りのトマトケチャップよりは健康そうな気がして買っていたのですが、騙されていたのですね。トマトソースを作るのに、いちいちトマトの皮をむいて切るのが面倒なので買っていたのですが、やはり自分で作らないとだめなのかと、生鮮食料品売り場に引き返して、トマトを追加しました。
この警告ラベル措置は、企業にとってはかなりやばいのかと思いますが、消費者にとっては良いことだと思います。そもそも、食べ物にしても飲み物にしても、パッケージされたものではなく、なるべく自然素材を使うようにしなければならないのだと思いますが、皆忙しくなったのに比例してこうしたパッケージ食品が増えてきたのですね。皆本当に、昔に比べて忙しくなったのかどうかは疑問でもありますが、この措置は、企業の味方の右派政権よりも、メキシコのような左派政権でないと出来ないような気がします。
ところで、「高トランス脂肪酸」というのは、マーガリンやショートニングなど油脂を加工・精製したものに含まれているので、それらを使って大量生産されたパンやドーナツなどにも含まれているようです。それで思い出したのですが、エクアドルで、まさに油脂を加工・精製した、カカオバター代替油の輸出ビジネスを立ち上げたことがあります。エクアドルといえば、フレーバーカカオ豆の産地・輸出国なので、そんな国からカカオバター代替油を輸出するのはカカオ豆への裏切り行為、もしくは快挙に近いのですが、原料は、これもエクアドルで生産されているパーム油です。この代替油は、香りを出すために本物のカカオパウダーと混ぜて、チョコレート製造に使われていました。なぜこれを使うかというと、チョコレートにとって大切なのは、味や香りもさることながら、口に入ってすぐに溶ける口当たりの良さだと、取引先のメーカーさんから教わりました。口の中で溶けるのが遅いと、石鹸みたいに感じるそうで、口当たりを良くするためにはチョコレートの融点を操作する必要があります。つまり、人の体温と同じ36-37℃位で溶けるようにしないといけないのですね。そしてこの融点を操作するには、工業生産された代替油が必要なのだそうです。油の融点を操作して変えるなんてと、目からウロコの感じがしましたが、色々技術も進歩しているので、そういうことをしてもトランス脂肪酸などが増えないようになっていれば良いのですが。
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