スペイン語が出来ない人も、「セニョーラ」は英語のミセス、フランス語のマダムで既婚の女性。「セニョリータ」は英語のミス、フランス語のマドモアゼルで未婚の女性だということは、ご存知なのではないでしょうか。
なぜ女性だけこのように既婚と未婚を区別するのかという疑問もなくはないですが、いまどきはそうきっちりと、未婚か既婚かで使い分ける必要もないようです。
初めて会った女性に、どういう敬称をつければ良いのか几帳面に悩む日本人男性も多いようで、指を見て結婚指輪をしていればセニョーラ、していなければセニョリータと呼んでみるとか、ずばり「え~と、すみません、セニョーラですか?セニョリータですか?」と聞く男性もいます。
が、ラテンでは一般的には、既婚・未婚に関係なくセニョリータは若い女性、セニョーラは中年以降の女性を指すので、女性にとってはセニョリータと呼ばれれば若く見られたと思って単純に嬉しいし、いきなりセニョーラと呼ばれると「そうか」とちょっと複雑な思いになる、とずっと思っていました。
私はスペインに住んでいた時はまだ若く、東洋人は実際の年齢より若くみられるせいもあって、ほぼいつもセニョリータと呼ばれ、どう呼ばれるかを気にしたことはありませんでした。
たまに市場で買い物をすると、セニョーラと呼ばれることもありましたが、たぶん市場で買い物をするのは独身女性ではなく主婦だろうから、市場にいる女性はみなセニョーラと呼ぶのだろうと思っていましたし、実際私より若そうな女性に対しても、お店のおじさんがセニョーラと呼んでいました。
南米に住むようになったのは30歳を超えてからですが、そうなるとだんだん、知らない人からセニョーラと呼ばれるかセニョリータと呼ばれるかを気にするようになりました。
これは、既婚か独身かではなく、若く見られているのか、歳とって見られているのかを気にしていたわけです。
そうして歳を重ねるうちに、セニョリータと呼ばれる率とセニョーラと呼ばれる率が自然に反転していくんだろうと思っていたのですが、コロンビアでそれがくずれました。
コロンビアでは女性への敬称は、若くても年増でも「セニョーラ」です。
「セニョーラ」という言葉には敬意が含まれていて、呼び捨てには出来ない女性や初めて会った女性、通りで声をかける女性、お店の女性、ウエイトレスさん、中学生の女の子にまでセニョーラと呼んで、失礼にはなりません。
勿論、既婚だろうが未婚だろうが、関係ありません。楽でよいですね。
これはよくわかりませんが、フランスの「マダム」という響きとちょっと似ているのかもしれません。
若い女性でもセニョーラと呼ばれれば敬われていると感じ、セニョリータと呼ばれると、ちょっとバカにされていると感じるようです。
そんなコロンビアに8年間、普通だったらさすがにセニョリータと呼ばれることはない年齢になって住んだので、セニョーラと呼ばれても卑屈になることなくすっかり慣れていたのですが、メキシコに来て驚きました。
メキシコでは、誰でもかれでもセニョリータです。
私にさえセニョリータと呼ぶくらいですから、「えっ?そうなの?」と驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。。。
私は最初コロンビアでやっていたように、見知らぬ女性や、年齢が分からない女性宛てにメールを送る時など、なんでもかんでも、「~様」、という意味で「セニョーラ~」、と呼んだり書いていたのですが、ちょっと嫌な顔をされたり、返事が遅いか来ないことがありました。
そして、自分自身がセニョリータと呼ばれることが続いて、メキシコではセニョリータが敬称になるんだと気づいたわけです。
微妙な年齢だと、セニョリータと呼ばれるかセニョーラと呼ばれるかは死活問題に近いのですが、ある程度歳をとると逆に、セニョリータと呼ばれるのには抵抗があります。
私もメキシコで最初は、お世辞でセニョリータと呼ばれているのだと思い、なに見え透いたおべっか使うのよと腹がたちもしたのですが、呼び捨てには出来ない女性や初めて会った女性、通りで声をかける女性、お店の女性、ウエイトレスさん、おばあさんにまでセニョリータと呼んでいるので、これは慣れるしかないようです。
メキシコに来られたら、道に迷ってその辺の人に尋ねて、「あそこのセニョリータがいるところを右に曲がって。。」と教えられてうら若い女性を探しても、角にインディオ系の物売りのおばあさんがいるだけで結局道に迷う、ということがないように、お気を付けください。
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